2004年 06月 06日
竹村公太郎著『日本文明の謎を解く』(清流出版、2003) |
タイトルから誤解を受けやすいが、よくある「神秘古代文明」本ではなく、元国土交通省河川局の役人が「社会インフラ」というキーワードを軸に、日本の「現代文明」を論じた本である。
それも、洋の東西、歴史の今昔を問わずダイナミックに論を展開している。
たとえば、発見されているエジプトのピラミッド80基すべてがナイル川の西側に建設されている謎を問うた「大地を造る知恵」の章。
ピラミッドを西側に築いたのは、東側に山地が連なるのに対して、西側が砂漠地帯で、ともするとナイル川が蛇行し砂漠の中に消散してしまうため、ピラミッドを築いて水路を一定に保つためだた。そうすることにより、下流まで肥沃土が運ばれ、ナイル全域にわたり豊作となった。
これは、高津道昭氏(『ピラミッドはなぜつくられたか』新潮選書、1994)の論の紹介であるが、竹村氏はこれを河川事業の専門家の立場から、有明海の干拓事業において、水中に杭を打ち込み土を堆積させる「からみ」工法と関連づけて論じる。
つまり、ピラミッドはナイル川の「からみ」だと。うむ。
その他、本書には14章が収められている。長良川河口堰問題を当事者として論じた「情報公開はすべてのインフラ」は必読か。情報公開をしたら、新聞の批判的な記事と河口堰を支持する記事数が逆転したそうだ。
全体を通して論の飛躍が多少気になる箇所はあるが、それは読み手の問題。想像力をかき立てられ、脳に刺激を受けたい向きにはもってこいの本である。
それも、洋の東西、歴史の今昔を問わずダイナミックに論を展開している。
たとえば、発見されているエジプトのピラミッド80基すべてがナイル川の西側に建設されている謎を問うた「大地を造る知恵」の章。
ピラミッドを西側に築いたのは、東側に山地が連なるのに対して、西側が砂漠地帯で、ともするとナイル川が蛇行し砂漠の中に消散してしまうため、ピラミッドを築いて水路を一定に保つためだた。そうすることにより、下流まで肥沃土が運ばれ、ナイル全域にわたり豊作となった。
これは、高津道昭氏(『ピラミッドはなぜつくられたか』新潮選書、1994)の論の紹介であるが、竹村氏はこれを河川事業の専門家の立場から、有明海の干拓事業において、水中に杭を打ち込み土を堆積させる「からみ」工法と関連づけて論じる。
つまり、ピラミッドはナイル川の「からみ」だと。うむ。
その他、本書には14章が収められている。長良川河口堰問題を当事者として論じた「情報公開はすべてのインフラ」は必読か。情報公開をしたら、新聞の批判的な記事と河口堰を支持する記事数が逆転したそうだ。
全体を通して論の飛躍が多少気になる箇所はあるが、それは読み手の問題。想像力をかき立てられ、脳に刺激を受けたい向きにはもってこいの本である。
by maruhi5
| 2004-06-06 13:36
| 本・雑誌